日々雑感

厳しい春

 暖かい春はすぐそこまで来ている。しかし、消費税引き上げの春であり、集団自衛権解釈など一連の平和憲法見直しの春でもある。オバマ大統領が来日し、対中・対韓外交とTPP打開の圧力がかかる春でもある。なんと大きな試練が待つ春であろう。
 先週、共同通信の鈴木博之氏のお話を聞く機会を得た。氏は、安倍政権の基盤として①自民党支持率を上回る内閣支持率②経済再生への期待感③人事権による党・霞が関支配の3点を挙げた。明快そのものだ。
 内閣支持率は特に若者において高い。最近の無差別殺人に象徴される若者の不満を「対外的に強く出る安倍政権」は吸収する力を持っている。しかし、経済は、消費税引き上げ後は保障できないし、人事は、法制局長官やNHK会長などにみられる偏向人事が永田町や霞が関を席巻するようであれば与党内が治まるまい。
 その意味では、安倍政権は依然高い支持率に恵まれながらも、厳しい春をどう乗り越えるかの試練が目の前にある。残念なのは、野党が効果的な対立軸を作り上げていないことだ。
 鈴木氏は、野党第一党の民主党は10年計画で失地回復すべきと助言している。政界では、10年後のことは全く分からないと言ってもよいだろうが、民主党の政権運営の失敗はそれほど尾を引くという趣旨にとらえた。
 疑惑のSTAP細胞や聴力障害の作曲家とは対照的なニュースが飛び込んできた。父を亡くしてもワールドカップの試合に果敢に臨む金メダリスト吉田沙保里氏のことである。吉田選手のスポーツ精神に学び、安倍総理、厳しい春を潜り抜けられるか。

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