日々雑感

小保方事件

 STAP細胞の論文不正を巡って、不正と判断した理研に対し、不服申し立ての小保方さんが記者会見をした。このニュースは視聴率も高く詳細に伝えられているが、ツイッターでの小保方擁護論と不正論は割合がほぼ拮抗した。
 不正論は研究者・専門家が圧倒的に多く、個人のバッシングだとする擁護論は門外漢が圧倒的に多い。法律論や感情論ではなく、科学論として決着をつけるならば、不正論が正しい。これは、研究者・専門家の論議を採り上げるべきである。
 ポスドクの不安定生活、人気ある課題への研究費集中、ネイチュア等論文掲載競争、女性研究者優先など、現在の研究環境の問題を全てさらけ出したこの事件を、厳罰よりも前向きにとらえて、基礎研究と人材の育成にカネの配分を考え直すきっかけとなればよい。
 話は飛躍するが、昨日、総理の私的諮問機関である集団自衛権懇談会メンバーのひとり、岩間陽子政策大学院教授の話を聴いた。内容は、新聞情報と変わらないが、終戦後と事情の異なる今日では、近代的武器の前に即断が必要であり、自衛隊の海外活動が限定されれば国際責任が果たせない、したがって、集団自衛権は認めるべきという趣旨だった。
 安倍さんの認識を共有する岩間氏は、良くも悪くも「安倍色」の学問を進めていくだろう。政治の要請に対し学問を後付けすることは、学者にとって不利にならないかと危惧する。小保方さんは研究倫理を身に着けていないことを自らの言葉で表したが、結論の決まった(集団自衛権は合憲)議論を学者が進めるのも研究倫理に悖るであろう。

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