日々雑感
ピロリ菌 講演会
2005年、西オーストラリア大学のバリー・マーシャル博士は、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が胃潰瘍、胃炎、胃がんの原因であることを突き止め、ノーベル賞を受賞した。
昨日、都内で、マーシャル博士の講演会があった。非常に平易な英語で、ユーモアたっぷりの講演であり、一時間半にわたって聴衆を惹きつけた。
博士自身が、培養したピロリ菌を飲んで胃潰瘍を起こさせ実証した話や、ピロリ菌保有者はぜんそくなどアレルギー発症率が低いという話など、新鮮な内容であった。また、アインシュタインやマライア・キャリーがどんな時に理論を思いついたかというエピソードも「ノーベル賞は意外に身近だ」と思わせるメッセージを送ってくれた。
ノーベル賞受賞時の2005年、筆者は、首都キャンベラにあるオーストラリア国立大学大学院で勉強をしていた。オーストラリア外務省や防衛省在籍の社会人も仲間だったが、マーシャル博士のようなオーストラリア・アクセントは聞かれなかった。マーシャル博士は、その意味でも極めて庶民的感覚で、「四人兄弟の僕は貧乏人でした」という状況から、明るく、威張らず、世界最高峰の賞を受賞した。
受賞のニュースを聞いた当時、胃潰瘍や胃がんは日本に多い病気なのに、なぜ日本でピロリを発見できなかったのだろうと、少し残念な思いもした。しかし、2013年、日本においてピロリ菌の除去は保険診療の対象になり、胃潰瘍などが激減していくプロセスにある。
1950年以前生まれの日本人はピロリ菌保有者が特に多いとのことだが、早く除去し、マーシャル博士に感謝しよう。