日々雑感
大砲かバターか
大砲かバターか、言い換えれば、安全保障か社会保障かと選択を迫られた時に、現政権は安全保障を優先させている。
その中で、税と社会保障の一体改革は、消費税の引き上げが行われ、また、今度の通常国会では医療・介護の推進法が成立したことから、一応のスタートを切った。2012年に立法された年金関連法、こども・子育て支援法も合わせ、一部とはいえ、実施が始まっている。
2025年の完成をめざすこの改革は、喧しい集団自衛権の議論に隠れて、官僚主導で行われている。看護師のリストラや、見るべきもののない少子化対策などの問題はあるものの、地域包括ケア社会に粛々と向かっていく。地域包括ケアの概念は、これからの医療と介護に正しい方向性を与えている。
地域包括ケアの担い手となる地域主権や女性の活用は、走りながら策を講じていくことになるか。官僚主導では、ここが一番弱いところだ。日本は、中央集権と男性社会が長すぎたからだ。しかも、それを支えてきたのは、自民党と官僚だ。
政治そのものも中央集権が台頭してきた。安全保障を優先政策とすれば国家主義になるのは容易だ。この動きと関連しているかのように、旧民主党の国会議員がぞくぞくと首長選挙に鞍替えしている。民主党政権の復活が難しいと観たこともあるが、そもそも民主党は地域政治を目指す傾向を持っていた。哀しいかな、国政の経営能力は不十分だった。
国家は大砲で、地域はバターで治政にあたる人材の振り分けになるのか。まるで1960~70年代の再来のようだ。