日々雑感
女性大臣の失脚
戦後長らく「女性初の00」は、よく記事になった。初の検察官、上場企業初の重役、初の大臣・・・今は大臣も珍しくはない。しかし、今回、二人の女性大臣が「政治とカネ」「公職選挙法違反」で引責し、極めて「男性的問題」で辞めることになったのは、女性初ではないか。選挙違反は男性のやることであって、女性がかかわるとは思われていなかった。
かつて読んだ「取引の社会」の中で、「女性の犯罪が多くなったのは、女性の地位向上の表れか」とあったのを思い出した。小渕さんは、首相経験の親から継いだ事務所の管理を不要と思い、松島さんは落選経験もあって「団扇くらい・・・」の軽い気持ちがあった。二人とも辞任会見で「自分は意図的な悪人ではない」ことを示していた。だが、男性並みの地位を得たのだから、今後とも男性並みのバッシングを覚悟しなければならない。
この一件は、安倍政権の女性活躍政策の行き先に暗雲が漂っていることを警告する。数値目標を掲げて無理に女性を登用するよりも、女性の底上げを図るほうが急務だ。介護や保育など女性の多い職場での処遇を改善することや、職業倫理を身につける教育を施すことが忘れられている。
女性活躍の政策は、安倍首相の思想から当然には出てこない。国際的圧力や人気取りのためだとしても、実質的に多くの女性が働く喜びを得られる方向に舵を切るべきだ。男性的な女性を増やし、男性的な理由で失脚していくのは、「女性活躍」政策の本望ではあるまい。