日々雑感
魂の限界
STAP細胞が検証できずに終わり、小保方晴子さんは、「魂の限界まで来た」と言った。痛々しい言葉である。研究不正が思い込みであれ、意図的であれ、科学者仲間や日本の科学の信用を傷つけたことに対して謝罪すべきと思うが、今の小保方さんの心情を推し量ると、楽にしてあげたい老婆心も働く(言論者としては間違いだろうが)。
師の笹井教授は、責任の取り方として、自ら死を選んだ。ノーベル賞候補とも言われた人である。人間は程度の差はあれ、一定の負荷をかければ、鬱状態になって、自殺の可能性が高くなる。「頑張れ」あるいは追い打ちをかけるような言葉は残酷である。
翻って、日本自体が鬱状態ではないか。今季のボーナスは増加したと言う。安倍首相は早速経団連に来年春闘時に賃金を上げるように要請している。しかし・・・なぜか多くの人の不安と貧乏病は治らない。鬱に突入しているような感覚である。
今回の総選挙も、結果は前回の微調整くらいで、4年間のフリー切符を得た安倍政権の独り勝ちだ。人々は、積極的に政治に期待することを止めた。それが今回の結果そのものである。
もし、再び二大政党制が望まれるならば、野党再編よりは、安全保障の在り方を巡っての自民党分裂のほうが現実的であり、政権担当能力を鑑みれば、むしろそれしかないかもしれない。
1990年代からデフレ不況、人間で言えば鬱病にかかった日本は、病膏肓、今や魂の限界に達している。