日々雑感
群盲、象を撫でる
昨日、中国の駐日大使程永華氏のお話を聴く機会を得た。主に中国のエネルギー問題がテーマであったが、流暢な日本語で、日中関係の悪化も客観的に淡々と語り、優れたお人柄を感じ取ることができた。
中国は、石炭がエネルギーの3分の2を占める状況を脱しようと再生可能エネルギーに国家で取り組んでいる。再生可能エネルギーは発電総消費量の32%を占めると言うから、ドイツを抜き、世界一である。
実は、私は、中国は原子力エネルギーに力を入れていると予想していたが、質問時間の制限で、この点を聞きそびれた。生活水準が上がると、14億近くの人口の電力需要を再生可能エネルギーで対応するのは難しいと思われる。それにしても、中国産の太陽光発電パネルは日本に輸入されているし、大使が言われるように、再生可能エネルギーへの取り組みは真実だ。
中国は、先の全人大会で、成長率7%をニューノーマルとすることを確認したそうだ。既に高度成長ではなく中度成長だと大使は付言されたが、日本を含む先進国が経済成長しないことを以てニューノーマルと称しているのに比べると羨ましい限りの成長率である。
このことは中国の市場がまだまだ日本にとって最重要であると言うことに他ならない。中国の成長鈍化、ブラックビジネス、売れ残るマンションなどを日本は批判気味に報道しているが、中国の全体像を伝えてはいない。
確かに、何度行っても中国は分からない。上海の発展ぶりを見てほかの中国を語るのも間違っている。最近の日中関係からくる感情を抑え、中国を客観的に評価する必要がある。特にマスコミにそれを言いたい。
日本の中国観は、群盲、象を撫でるそのものだ。