日々雑感

未来の繁栄に必須なのは

 今夏はあっという間に過ぎ去り、既に天高く馬肥ゆる季節を迎えた。この間、国連NGOの会議と国際女性団体の会議にご招待を頂き、暫し日本を離れていたことは、安保法制、TPPの議論を第三者の目で見る結果になった。真の影響はこれからであり、「何か起きたら」、安倍政権を振るがすことになろう。
 岸内閣が退陣して池田内閣は安保論議を封じ、経済政策に邁進したのと同じ方法を安倍内閣は取ろうとしている。安倍政権は第一次安倍内閣のときと比べて、明らかに戦略に長けている。
 しかし、経済は、安保以上に、TPP以上に、言うことをきかない。所得も消費も株価も伸び悩む。一つ明確な原因は中国の経済減速である。中国公表の成長率は疑問視され、元切り下げ、株価暴落はその証と言う。かの爆買いすらも勢いを失いつつある。
 新たに打ち出された安倍政権の成長戦略は甘いと揶揄される。なぜなら、アベノミクス三本目の矢である成長戦略の評価を怠り、抽象的な目標(GDP600兆円、合計特殊出生率1.8、介護離職ゼロ)を掲げた「焼き直し」を提案しているにすぎないからである。
 ただし、安倍政権に代わる勢力はない。自民党もかつての価値複合体ではなくなり、野党はおよそ力及ばず。野党の中の野党である共産党が共闘を主張しても、内ゲバ好きの野党は「君子危うきに近寄らず」。君子たる矜持もないように思われるが。
 安倍政権が掲げた抽象的な目標の最たるもの、合計特殊出生率1.8を目指すならば、好い加減に、保育所待機児童ゼロを主たる目標とする少子化対策を見直すべきだ。女子供だけの政策である少子化対策から、各省に政策ターゲットを持たせる人口政策に乗り出さねば、日本は、未来の繁栄に間に合わない。

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