日々雑感

維新の党分裂

 維新の党分裂は、大阪はいざ知らず、世間の大きな関心事ではない。そもそも野党は内ゲバ好きの集まりであり、ちょっと前に民主党が小沢一郎率いる生活党と分裂し、政治生命を終わらしたのは記憶に新しい。
 ひとつだけ事態を面白くしているのは、橋下徹市長の強烈な個性と鋭い舌鋒だが、これに対し、凡庸な松野頼久党首、怒れども出番のない江田憲司が戦いを有効に運べぬままだ。
 しかし、橋下さん、国政を目指すはずなのに「おおさか維新の会」は名前からして局地的だ。もともと関東以北の人は「維新」という言葉が好きではない。半藤一利の著作によれば、明治維新は、初めは「御一新」と呼んだのを藩閥政府がより偉そうな「維新」に改めたのだそうだ。そう言えば官軍が使った「錦の御旗」も捏造品で、作り替えは長州人の得意中の得意だったね(憲法の解釈も作り替えたし)。
 橋下市長に言いたい。国政を目指し、5年後には政権をとると豪語するなら、「おおさか」も「維新」もやめた方がいい。ただし、橋下氏の地方から国政を変える基本構想には賛同したい。90年代、改革知事が流行り、2000年に地方分権推進法が成立して、地方公共団体は国の「機関」ではなくなった。しかし、状況はさほど変わっていない。それが証拠に、今になってなお地方創生が叫ばれているのだ。
 地方創生予算が国の査定によって交付される事実ひとつとっても、地方に自由がきかない、自治体同士の競争もできない。それを橋下氏は地方の独自性と競争で国を変えてみせようと言う。大阪都構想はまさにそのひとつだ。
 保守対革新の軸よりも、方法論において優れた政策を推し進める者がリーダーであるべきだ。地方創生の背景にある三大課題、即ち、人口政策、新産業、農業崩壊は保守革新で争うテーマではなく、国の最大の仕事である。それに具体的な方法論を掲げる人に政治を託そう。そして、地方が争って問題解決に乗り出すのを見たいものだ。

日々雑感一覧