日々雑感

謹賀新年 2016年

 2016年は明けた。いつの間にか、21世紀も深く食い込んできた。2000年が明けるとき、世界がテロ戦争に巻き込まれる世紀が来るとは思いもつかなかった。アメリカ一国の覇権が揺らぎ、中国が日本のGDPを凌駕し、ロシアが策略に長けた外交を展開する時代を誰が予想しただろうか。しかも、イスラム国はキリスト教国から領土を奪い返す逆レコンキスタを狙う。
 第二次世界大戦の連合国勝利やソ連の崩壊によって勝ち誇った民主主義は、理想の世界を実現できなかったではないか。他方、マルクスが予言したプロレタリア革命によって理想の共産主義社会を実現することは叶わず、民主主義に対抗するイデオロギーは消滅した。
 世界は、新たな価値を模索する時代に入った。新たな戦いは新たな選択を迫る。人権と労働力不足を盾に難民を無制限に受け容れることはできない。イスラム国の資金源が石油ならば、大いに新エネルギーを開発し、石油依存を減らせばよい。欧米と中東の経済・人の流れは変わって来るだろう。
 日本は、欧米の動きからは些か遠いところにある。むしろ、中国の成長率低下の影響の方が気になる。当の中国もまた日本の投資と技術に逃げられては困るという事情がある。日中のみならず日韓も本当は持ちつ持たれつのはずだ。2016年は日中韓の歩み寄りにならないか。日韓の従軍慰安婦の解決はその始まりではないか。
 国際情勢のダイナミズムに翻弄されることはあろうが、日本は健気にも自国の方針を立てている。GDP600兆円、合計特殊出生率1.8、介護離職ゼロ。いずれも笑ってしまうくらい絵に描いた餅だが、ここ10年、否、池田勇人内閣以来、こんな目標を掲げた内閣はなかった。それだけでも、安倍政権の自信のほどが感ぜられる。
 嘘でもいいから、やってみよう、やらせてみよう。3つの目標の背後には、いずれも人口問題がある。人口構造を放置すれば目標の達成はない。それを認識すれば、自ずと施策が思い浮かぶであろう。

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