日々雑感

内向きのアメリカと日本

国連女性の地位委員会開催中、アメリカのニュースは、毎日が「トランプ」だった。イスラム7か国の入国阻止、オバマケアの廃止、ロシアとの通謀など、テレビ・新聞の報道には、トランプバッシングが感じられた。
 ニューヨークの街角に、選挙後も剥がされずに残ったポスターを見つけた。トランプの似顔絵に「小便かけて消しちまえ」の文句が書かれていた。下品極まりない。アメリカに長く住む日本女性が「こんなに悪口を言われる大統領は初めてだ」と慨嘆していた。
 アメリカのニュースは内向きになっている。国際二ュースの報道が少ない。世界の警察官の冠を下したアメリカの姿かと思われた。
 日本に帰ってくると、毎日が森友学園と築地市場のニュースだ。籠池理事長と小池知事の「イケイケ」コンビのニュースばかり。日本もまた内向きだ。総理の進退まで及ぶかもしれない事件、大東京の食の安全を脅かす事件であり、いずれも背後の政治家・官僚の仕事に大きな疑問がある。
 この二つの真相を解明せずに終わらすべきではない。どちらも政治責任の所在が明らかでないままで、国民の知らざるところで偏頗な行政が行われていることは民主主義国家としては放置できない。
 しかし、野党の詰めの甘さを見ると、森友学園問題は「ひとりの頭のおかしい男がやったこと」でうやむやにされるのが落ちかもしれない。築地市場については、小池知事は、住民投票で決めようとするかもしれない。それが小池さんにとって一番傷つかない方法だからだ。しかし、もし、小池さんが総理を目指すならば、知事として責任ある決断をしてほしいと願う。それこそが小池都政のバックボーンを作るものだからだ。何もかも住民投票では、首長は要らない。
 アメリカに話を戻すと、叩かれているトランプはよくも悪くもメッセージが明快だ。ビジネスの世界で生きてきた人であり、彼は自分で決める大統領だ。彼の就任演説の10日前に、オバマが退任演説をしたが、自分の業績と民主主義の価値について語り、抽象的で分かりにくい内容だった。改革を掲げたオバマは失望に終わったとの見方が強く、だからこそ際物かもしれないトランプが政権交代を果たしたのだ。
 オバマは何度も、市民が、あなたこそが私を働かせてくれたと自らの市民政治家を強調していたが、耳触りの良いその言葉とは反対にリーダーシップに欠けていたことも否めまい。オバマは組織を率いる職業経験のない大統領だったのだ。トランプはリーダーシップだけはオバマを超える。
 内向きなアメリカと日本。大きな波をどう超えるか。

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