前川、がんばれ
「前畑がんばれ」は1936年、ベルリンオリンピックにおいて前畑秀子が平泳ぎで金メダルを取った時、NHKアナウンサーが放送中絶叫した言葉だ。現在、「前川がんばれ」と前川前文科事務次官を応援していたら、加計学園ゲートが化けの皮をはがし始めた。
文科省に引き続き、内閣府も調査せざるを得なくなり、斡旋政治の内幕を国民に明らかにする。ただし、重要法案テロ等準備罪も可決し、国会は閉じるから、議論は、マスコミと人々のコミュニケーションに移る。もしかしたら、このまま萎んでいくかもしれない。また、自民党の支持率があまり下がらないのは、偏に野党の不甲斐なさによる。
都政では、小池知事は、少なくとも豊洲市場とオリンピックを国民の議論の俎上に載せた。知事が彼女に変わらなければうやむやにされていたかもしれない。ただし、前川さんと違うのは、小池さんは、ずっと政治的だ。前川さんのように「役人の矜持を守る」という単純なものではなく、小池政治を席巻させるための手法を尽くす。
そのための都議選、議会過半数になるかどうかは分からないが、小池新党は自民党を超えるであろう。国政に影響ある新たな野党を期待したい。あたかも橋下徹が大阪維新の会を全国政党にしたように。
話を前川氏に戻す。彼は、文科省に入るとき公務員試験4番の優秀な成績だった。真実に文部行政を目指した人なのだろう。私は、法学部出身ではないので、長い間「法律学は社会科学ではない」と思ってきた。それを小林宏晨日大名誉教授に言ったら、怒られた。「法律学こそ最強の社会科学。私は、それを身に着け喧嘩に負けたことはない」と言われた。私は、心を動かされて、遅ればせながら、今、少し、法律学の勉強をしている。
だが、判例を読んで、なぜこんなに回りくどい言い方をするのか、なぜ真実はひとつなのに、学説がいくつもの理屈を作るのか、自然科学に比べると、納得のいかない内容が多い。そうだ、総理補佐官を始め、永田町・霞が関は東大法学部だらけ。さまざまの理屈を披歴し、最後は権力への忖度で決めた、ということにしているのだ。
学力の高い前川さん。次は、法の支配が忖度を駆逐する行政の在り方を声高に主張してほしい。加計学園ゲートが立ち消えしないために。