小池新党前夜
都議選が明日に迫った。山の手の杉並区を歩いてみると、其処此処にポスターの掲示板が建てられ、たまにだが、演説カーが通る。東京の人は、地方と違って、どこへ行くのも車を使わず歩くので、地方が点と点で生きているのに対し、線上に生きている。
点よりも線の方が情報が多く、伝わりやすい。都会が時代の先端を行く理由の一つだ。むろん、学歴も所得も相対的に高いから、情報の価値を見分ける力も持つ。ただ、歩いてみればわかるが、どんな瀟洒な家に住んでいても、狭く、生活の豊かさの実感は地方には及ばない。
その東京で、今回は「異変」が予想される。マスコミもまるで2009年の自民党惨敗再来のように、自民党叩きをしている。忖度政治、稲田防衛大臣の自衛隊を使った投票依頼発言(この人は、法律家なんだが)、下村都連会長の利害関係者からの献金問題、魔の二期生政治家の不祥事・・・それにしても、弁解のしようがない攻撃材料を自民党はよく作ったものだ。そして、2009年は逃げた票が民主党に行ったのだが、今回は間違いなく都民ファーストに行く。
小池ネガティブ情報も少し出ているが、少なくとも、オリンピックや豊洲問題の情報公開は一番評価されている。都民は先ずはここまでを評価するはずだ。この後、大阪の橋本徹がおおさか維新の会を全国政党にしたように、小池新党が登場することは間違いあるまい。維新の会は一時の勢いはなくなった。それもそのはず、一番の立役者橋本が第一線から退いたからだ。小池新党は新たな期待が寄せられるであろう、しかも、今度は地方であって東京敵対の大阪ではなく首都東京を舞台に出現する。
小池さんが政界に出たのは、1993年、細川護煕の日本新党が国政に打って出たときだ。その後、政界再編に合わせて「政界の渡り鳥」と揶揄されつつも、つねに政党ナンバーワンの人物の信頼を勝ち取ってきた手腕を持つ。今度は初めて自らがナンバーワンとなる。日本新党を彷彿とさせる状況の中にある。
新党は潰れやすい。ベンチャー企業だからだ。しかし、数々の政治勢力の栄枯盛衰を渦中の人間としてみてきた小池さんだから、どう御していくのか見たいものだ。一つ確実に言えることは、独りで仕事をしてはいけない。賢人を集め小池軍団を作り、「情報公開をする保守政治」を旨に、行動すべきだ。