何も変わらない、で良いのか
少数与党の臨時国会が閉幕した。国民民主党の主張を慮り103万円の壁を123万円に引き上げ、政策活動費は廃止したが企業・団体献金は将来の課題に引き延ばしたことは、やれやれ従来の自民党らしいやり口だ。これに抗えぬ野党のだらしなさも変わらない。
石破総理は「熟議の国会」と評価するが、むしろトランプ流のディールの国会ではないか。野党にちょっとだけエサを与えて終えることができたのだから、第一戦は自民党の勝ちかもしれない。
しかし、いかにトランプを真似ようと、政治の陣容が天と地の差だ。トランプには、イーロン・マスクとJDヴァンス副大統領がついている。天才と文才を備えた陣容だ。かたや、石破総理の土俵入りを見よ。露払いは玉木国民民主党党首、太刀持ちは前原維新の会共同代表だ。一体、自民党の輩は総理を放っておいて何をしているのか。いつ毒を飲ませ(野党提出の不信任案に賛成)、安楽死を図らせるかを狙っているのではないか。
1993年、宮澤喜一内閣が不信任案を突き付けられたときに自民党から裏切り者が出て成立してしまった。洋一は喜一の甥である。彼の103万の壁に対応する税調会長としてのふてぶてしい態度は伯父に似て、内閣不信任案につながる可能性十分である。歴史は繰り返すぞ。
懐刀を持たない石破総理は裸の王様である。トランプ次期大統領との面談も、安部昭恵、孫正義に先を越された。外務省は謝ることもしない。総理は部下からバカにされているとしか思えない。仏頂面で片言の英語も話さない総理が、好き嫌いの激しいトランプの寵愛を受ける可能性は低い。外務省はジャパンハンドラーたちと総理の振り付けを協議し、時間を稼いでいるのだろうか。
だとすれば、103万の壁、企業・団体献金と同じく、日米外交もまた何も変わらない。総理持論の日米行政協定の改訂やアジア版NATOは論外だ。
石破総理、もし国会の熟議を評価するのならば、露払いの国民民主と太刀持ちの維新をばひきつけ、自民党内の毒を消せ。まさに毒を以て毒を制し、総理としてやりたいことがあるのならば、その手を使うべきだろう。もしこのままズルズルと党内の毒気にさらされ続けるならば、永年総理になりたかったのは、ただ椅子に座りたかった総理だったということになりかねない。