政治の緊急事態宣言 3流政治国家日本へ
横浜市長選挙は、オリンピック熱を一挙に覚ます出来事だった。これは、立憲民主党が「勝った」のではない。菅総理が否定されたのだ。同時に、今人々が求めているのは、コロナ対策であって、IRでも「横浜育ちの情念」でも何でもない。
山中氏が「唯一のコロナ専門家」として選挙を戦ったのは極めて賢い選択だった。勝因はそこだ。人々はコロナという戦争の中で厭戦ムードに陥っている。先進国や中国が経済回復していく中、日本だけが、感染拡大防止不能、自治体のワクチン接種の遅れ、飲食など娯楽だけを対象にした手段、おまけに医療放棄が起きている。入院できずに、絶対に助かる命を落とした新生児、自宅療養での死者は、先進国とは言えない「医療カオス」だ。
思えば、2009年には、後期高齢者の医療切り捨てと見られた医療カオスが政治を変えた。今も同じ状況だ。しかし、当時受け皿になった民主党の失政から、選挙民は今回野党が受け皿になるとは毫も考えていない。ならば、自民党は党首を替えるしかあるまい。しかも、ただ替えるのではだめだ。
小渕政権以来の21世紀の日本は、国際的に3流政治であり続けた。なぜなら、政治が、ひこばえ政治家、職業経験を持たない「選挙屋政治家」に担われてきたからだ。浅学菲才の彼らを一掃し、近代政治の歴史を学び、科学をベースにした政策を身に着けた政治家を前面に出して使うべきだ。永田町に今何人いるだろうか。
上田清司参議院議員が知事経験者など地方自治に造詣の深い人材を集めて新党を結成する動きが始まった。これは、期待できる。アメリカでは、大統領になるのは、知事経験者か上院議員だ。政治のマネジメントを実践してきた知事等の経験者こそコロナ対策など社会政策をやっていく上で力を発揮することができよう。少なくとも今までその人材の使い方を日本は知らなかった。
総裁選で、今度こそ、学識経験の高い総理を選んでほしい。そして、以降、ひこばえ政治家と選挙屋政治家の公認を止めるべきである。日本が国際的に3流政治国家から脱する唯一の道筋である。