日々雑感

国際規格外れの日本人

 総選挙が今一つ盛り上がらない中で、真子さんと小室圭さんの結婚記者会見が行われた。この報道で政治が一時休止するほど、国民は政権交代を望んでもいないし、モリカケを追求しない岸田首相の人気も上がらない。
 女性皇族は結婚によって皇籍を離脱するというのは、世界の王室にない制度だ。皇室が先細りする危惧があるなら、この制度自体を検討してもよい。戦後、天皇の統帥権の下に戦争を支えた皇族は直宮家を除いて身分を剥奪された。皇族の拡大は許容されない方針だったから、女性皇族の離脱という制度を設けた。しかし、これも皇室典範のことなら、女性天皇と同様、国会で法改正できるのだ。
 今般の真子さん、小室さんへのバッシングは、国際的視点から見れば、異常だ。女性皇族は皇籍離脱せねばならないという男女差別も現代に通用しないが、逆にとらえれば、女性にだけ「自由の道」の扉があると言える。その扉を果敢にも開けた真子さんの意思は、知性を感じさせる。国際体験や自らの教育を通して育んできた結果の表れで、あっぱれと言うべきである。
 自由に結婚相手を選ぶのは伝統に反する、女性天皇は伝統に反するという理屈が今も通るのであれば、世界に追いつき追い越せ時代の成功体験を伝統として、産業構造の変革やイノベーションに立ち遅れ、世界経済社会の中で劣勢を余儀なくされているのと同じ理屈なのだ。
 小室夫妻がアメリカで生活を始めるのは正解だ。アメリカは差別やセクハラなどを解決したとは言えない国だが、困った人を助けるという点では、移民の歴史が大きく働く。
 筆者は、1970年代のアメリカ留学時代に、我がアメ車がエンストを起こしたり、雪の坂道を上れなくなった時に、どこからともなく人が駆け付け、力を貸してくれたことを忘れられない。日本でバッシングを受け続けた小室夫妻にアメリカは優しく対応するはずである。
 小室夫妻へのバッシングをネットに投稿し、マスコミもその尻馬に乗った報道をした日本は、国際競争力で負け、劣化の一途を辿っている。もう国際規格外れの日本をやめるべきだ。はからずも小室夫妻の結婚は、先進国でビリを走る日本の「伝統という名の国際的無知」を明らかにした。

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