日々雑感

反対できない改革から始めよ

 岸田首相は「哀れ」である。良識派のジェントルマンとして登場したはずが、党内保守派追随と朝令暮改に明け暮れた。政策のまずさは、一般にも分るレベルだ。「異次元の」少子化対策は笑止千万である。従来の枠組みの中で金額をいかにするかだけの一次元対策である。
 もう奇をてらうことはない。岸田首相は新しいこと、ダイナミックなことは裏目に出る「地味な政治家」なのだから、むしろ、誰も反対できない長年の懸案から改革に着手し、支持率回復を狙うべきだ。
 誰も反対しない、否、正確に言えば国会議員以外は誰も反対しない改革とは、国会議員の定数削減である。立法するのは国会議員だから、従来実現できない改革だった。      
 しかし、妙手がある。参議院改革から始めるのである。参議院の定数を250から100に落とし、学識と職種に重点を置いて政党色を払拭し、良識の府にもどす。残り150の政党政治派参議院議員は衆議院の比例代表単独に移ればよい。同時に衆議院選挙における比例復活を止める。
 この手だと、数を減らすが候補者を減らすことはない。反対するのは自信の無い国会議員だけだ。何よりも、目先の社会問題と予算審議にだけ明け暮れる衆議院に対し、参議院は、人口や教育など長期的な課題、決算に重点を置いた議論を請け負い、政治家・官僚の地盤沈下を食い止める存在にするのである。
 防衛力強化も、異次元少子化対策も、新しい資本主義も、内容が粗末すぎて、反対が多く、最終的には、泰山鳴動して鼠一匹の結果が見えている。先ずは、国会改革から始めよ。政策を作れる集団をつくれ。カリスマにはなりえない岸田首相、足元を固めよ。

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