日本ネットワークをつくれ
街はコロナから目覚めたように活気づいてきた。人出が多く、株価は上がり、外国人観光客の姿が増えた。しかし、まだ多くはマスクをしている。これが日本だ。世の中が変わっても、身の保全は第一であり、多くがマスクをしている同調圧力に従う。
明治維新から敗戦までの77年と同じ月日が経ち、今年78年目に至る終戦後は終戦までの末期症状と同じ症状を呈してきた。1930年代の首相暗殺、日中戦争の始まりと同等の事象が起きている。安倍元首相の暗殺、対中国防衛のための軍備増強。
成功者と観られていた、歌舞伎役者の自滅、市議会議長の息子の反乱、首相息子の酔狂は、一言で言えば旧来のモラル崩壊だ。今の日本の一番の成功者は大谷翔平なのか。否、良くも悪くも日本の経済と株価を動かす孫正義ではないのか。
孫氏はもともと日本人ではない。だからこそ力を発揮する。旧来のモラルとは日本特有の同調圧力であり、悲しいことに、たまたま成功した高度経済成長期と同じ同調圧力に巻き込まれたままだ。日本を変えるのは、日本人ではできない。
ニュースキャスターよりも影響力を持つのは芸能人やスポーツ選手であり、多くの韓国・朝鮮系が活躍する。日本の怠惰な同調圧力に屈せず、志をもって生き、彼らの強いネットワークが日本を変えていくしかない。終戦後、日本に希望をもたらしたのは、吉田茂よりも力道山だったことを考えれば肯ずることだろう。
中国も世界にネットワークを張り詰めている。華僑ネットワークだ。もともと宗族(拡大家族集団)の国だから、海外にわたっても、そのアイデンティティは失われない。中国政府はこれをうまく利用している。今頃になって、オーストラリアは中国網に神経をとがらせ、その拠点でもある孔子学院を潰すことに躍起となっている。
インドも昔から印僑は華僑よりも一枚上手だとの自負を持ち、ビジネスのみならず、国連機関でも成功してきた。英国の医師の半分はインド系と言われるし、アメリカに渡ったIT技術者は超高給取りである。インド特有のカースト間の見合い制度により、インド本国から嫁を取り、インド文化を失うことなく、そのネットワークも凄い。
世界を股にかけるネットワークを歴史的に築いてきたのはユダヤ人である。ダイアスポラ以来、世界に散らばり、迫害を受けつつも、学問と経済において成功を収めてきた。迫害に備えて、ネットワークでは、宝飾品を買った値段で引き取る組織もあり、互いを助け合ってきた。移民の人数としては少ないが、アメリカの経済を牛耳っていると言われる所以である。
翻って日本を考えよ。世界に何のネットワークもない。日系人はフィリピン人ほどではないが、中国人よりも白人と結婚する割合が高く、現地に同化する。チャイナタウンのような規模のものはできない。日本は日本でしか生きられない、新たな時代に挑む志の少ない民族であることを念頭に置いた方が良い。
日本が国際社会で活躍するには、日本独自のネットワークを持つ必要がある。ほぼ外務大臣の経験だけで総理になった岸田首相に、少子化政策など内政の問題解決は無理だ。だとすれば、海外ネットワークづくりを始めるべきだ。どうせ防衛費を増額するなら、アメリカの高額な兵器を買うのではなく、インテリジェンスサービス機関を整え、世界に人を派遣せよ。
中国、北朝鮮、ロシアの東アジア情報をいち早くとらえることができたなら、日本は旧来のモラルを脱ぎ捨て、新たな発展に向かう。