岸田首相に求められるダイナミズム
岸田首相は、今国会での解散をあきらめた。左系野党は奮わないが、右系野党即ち維新の会に票をさらわれることが明らかだからだ。これまで左系野党の慰め役だった公明党との連立を止めれば、左系にも票が流れるかもしれない。
しかし、岸田首相の政権が低迷し続けているのは、「どっちつかずの」政治が原因であることを知るべきだ。岸田政権は「意外なことに」安倍政権をまるまんま引き継いだ。安倍が乗客、隣に岸田が座った人力車の車夫は菅だった。この伝統的な乗り物は道も風景も変えずに走り続けている。
方向を指示するのは安倍であり、道案内の標識はアメリカのバイデンがつくった。バイデンは図らずも「防衛費二倍は私が説得した」と一国の首相のみならず、日本をも貶めた「失言」を行ってしまった。岸田首相はこの乗り物から降りるべきだ。
茂木幹事長は、マッキンゼーの出身であり、アメリカ流の経営を身につけた合理主義者であるがゆえに、嫌われ者とされる。しかし、どっちつかずの岸田首相に必要なのは彼のような明快な考えを表現できる人材だ。茂木が公明を切るならば、彼に切らせて、維新と組めばよい。そのくらいのことをやらねば岸田首相が浮上することはあるまい。
公明のベースである創価学会は、高度経済成長期に就職列車に乗って上京した若者を多くとらえ、「昭和懐かし」の考えを捨てきれない。だから、メリハリが無くなる。この際、茂木の持つアメリカ的な合理主義を採り、毒を以て毒を制すがごとく、ブリンケン国務長官を真似て中国と交渉せよ。そして、維新と共に、行政改革を徹底するのだ。
さて。話は急転換するが、昭和世代の日本人は概して、ミソジニー(女嫌い)であり、イスラムフォビア(イスラム嫌い)であり、嫌韓である。20世紀の歴史の中で下に見ていた存在を嫌う傾向がある。それがジェンダーギャップ世界125位となり、世界史の勝者?プロテスタントの国アメリカ追随を生み、最も近い国との連携を阻害している。
しかし、アメリカも日本自身も20世紀の成り上がり者であることを認識すべきだ。中東のかつての大国、トルコやイランが科学や文化を人類にもたらしてきたことを理解し、まだ続く中東のエネルギー源を独自に確保せよ。フェミニズムが発展しない東アジアの親戚関係を女性の人材で改善することを考えるべきだ。
かつてクリントン大統領は言った。「経済だよ、馬鹿め」。今岸田首相が言うべきは「ダイナミズムだよ、馬鹿め」だろう。