日々雑感

健全なる野党

 地域医療・介護総合確保推進法案が14日、衆院厚労委員会を通った。今国会で成立の見通しである。野党は審議不十分の強行採決と不満だ。審議の場にいない私としては、詳細な議論はいくらやってもいいが、基本的なところでは反対の余地はないのではないかと思う。
 そもそも、これは民主党政権時代の社会保障・税一体改革の閣議決定の時点で大枠は描かれていた。国民会議や審議会の議論を経て、法案の形になったのだが、医療から介護へと段階ごとの機能分化や在宅ケアへの重点化は需要と財政の双方を考慮した内容であろう。
 政策誘導的基金の創設については注意深く実施すべきだが(特別連載欄に所見掲載)、野党民主党は当初から関わってきた経緯から、もし異論があるならよほどの論理をもって臨まねばならない。
 社会保障の分野はよく「抜本改革」という言葉が使われてきたが、1億2千万強の人を対象とした制度が年がら年中趣旨替えをされたのでは、堪らない。特に年金は40年かかって成熟する制度であるから、改正は最も慎重でなければならない。
 スウェーデンは、戦後2回だけ保守系の政党が与党となったが、社会保障制度があまりにも定着したため、大鉈を振るう改革を諦め、継続を是とした。ただし、民営化など修正は行った。
 21世紀、日本は、福祉国家であり、国際社会の国民国家である。内外の目が日本を見るときに、いつもぐらついていては信頼に欠ける。社会保障と外交は継続性を優先すべきである。
 民主党政権は、普天間移設問題や年金改革でできそうもない約束をしようとしたが、ことは外交、社会保障である。国民的議論を経ないで押し切ろうとしても、誰もついてこない。
 民主党政権のときに、民主党は自民党とイデオロギー的に違いは見られなかった。ならば、民主党が唯一貢献した?消費税増額を使って、現在の社会保障案をどう磨き上げるかという現実的な対応をしてほしい。健全な野党であるために。

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