日々雑感

本当に酸っぱいブドウ

 イソップ童話の「酸っぱいブドウ」は、ブドウの房に飛び付けなくて食べられなかった狐の捨て台詞である。「どうせ酸っぱいのだから食べられなくて幸いだ」。
 筆者は、直近2回の総選挙で、敗北と不出馬を経験した。議席の回復ができない慰めの言葉で「あんな汚い世界辞めてしまいなさい」「政治家はバカの集まりなのだからやめなさい」の有難い助言をたくさんいただいた。
 しかし、私にとって、政界は酸っぱいブドウと想像するものではなく、既にそのブドウを食べ酸っぱいことをよく承知している。何とか人々が食べられるブドウに近づけるのが民主主義の目的と思ってきた。
 それは、甘い考えなのかもしれない。今回の総選挙では、野党民主党は直前の候補者差し替えや維新の党との調整などで、出馬断念した者が多い。むろん、こうしたことは選挙に付き物であり、戦場の論理を否定するものではないが、今回はそれが多く、多くの怨恨を残した。
 そのあとでの代表選は、場が白けている。岡田氏が代表になっても細野氏がなっても、考え方の違いが党を割らねばならぬところに行きつく。もし、このまま続けるのならば、またしても明快な政策が打ち出されないまま時が過ぎてしまう。
 野田さんの傀儡か、蓮舫氏も出馬の意向。しかし、A級戦犯のダミーは受け入れられまい。リベラルの旗を掲げた長妻氏も出馬予定だが、有権者の人気とは逆にこれほど官僚に嫌われた人もいない。くびきのついたリーダーはやっていけるのか。
 野党は不意打ちの選挙後、混乱を乗り切っていけるか。本当に酸っぱいブドウを甘くするには、解党的出直ししかない。時を待ち、自民党のややリベラルとの提携を、あるいは吸収されることを覚悟に出直すべきではないか。
 筆者も、どこかで酸っぱいブドウを甘くする活動に参加したいと考える。

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