日々雑感

安倍晋三の復活

 4月8日、お釈迦様の誕生日、例年参加しているお大師参りの結願の日だ。10日間すべてを歩くことはできなかったが、お大師講の仲間とよもやま話をしながら、人生の思いを深めた。
 変わりやすい春の天気に翻弄されながら歩き、なぜか安倍総理のことを考えた。自民党から不満の声は漏れてこないし、野党は「戦争する国にしたいのか」というやや抽象的な攻撃しかできない。
 今の安倍総理はかつての彼ではない。集団自衛権の解釈、小渕氏のカネの問題などで支持率が下がっても、なぜか回復する力を持っている。第一次内閣で閣僚が失脚を続け、参院選で惨敗したのとは大違いだ。
 それは、野党がばらばらの動きをしているからだけではない。安倍氏はもう一度総理に復活するために万全の準備をしてきたと思える。官房長官と二人三脚をし、側近が頑強に総理を守っている。この数年の政治では珍しいことだ。
 第一次安倍内閣を辞任した時は「自信と誇りが粉々になった」とある雑誌で述懐していたが、「浪人中」に砕けた自信を取り戻すため、勉強会や山登りなどをしてきたそうだ。ボロボロだった自分が次第に形を整え始めたとのことだ。
 2012年夏、自民党総裁選の前、まだ安倍さんが出馬するかどうかも分からない頃、長年安倍氏の番記者をしてきたテレビ記者が「安倍さんは次に総理をやるために、ものすごい準備をしている」と伝えた。その時にはエール大学の浜田教授などのちに安倍ブレインになる人も固められていたとのことだ。
 政治一家の御曹司で、選挙に強い安倍さんも、苦しみを経て、復活し、良くも悪くもメリハリの利いた政治を進めている。筆者は決して安倍総理の応援者ではない。しかし、執行体制も、国民受けも、マスコミへの影響力も、第一次安倍内閣での失敗や民主党政治の失敗から学び、見事に裁いている。一度地獄を見た人間は強い。
 大阪都構想が頓挫したなら、橋下徹も国政で「復活」をめざせ。小気味よい法的三段論法で、正しい議論を誘導してほしい。あとの野党リーダーについては、月並みに、ま、頑張ってください…と申し上げる。

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