日々雑感

日本のダイナミズムはどこに

 アメリカの大統領選は、アメリカのダイナミズムをよく表している。従来、水面下でしか存在を主張できなかった社会主義者サンダースや、反知性主義と言われつつも現実の不満を吹き飛ばすような暴言居士トランプの善戦は、アメリカ国民が、21世紀の新たなアメリカを渇望していると解せよう。
 女性の代表を標榜するヒラリーとともに、大統領選の主役たちは、アメリカが世俗主義を訴えているような見方もできる。全世界的に宗教が後退する中で、欧米で一番のキリスト教国であったアメリカも、ここに脱宗教の風景を見る。トランプに次ぐクルーズだけが、かつての共和党に威力を誇った福音派、ティーパーティー派であるが、彼はトランプに到底及ばない。彼の主張は、昔ながらの「進化論反対、中絶反対、銃規制反対」だ。
 太平洋を隔てたアメリカの大統領選が日本人の関心を引いているのは、日本の政治が面白くないからだ。ノーベル経済学者スティグリッツをわざわざ呼んで「消費税を延期すべき」と発言させるのは、衆参同時選挙の布石と思われるが、与党が勝つのは目に見えていて、問題はどの程度勝てるかだ。これまで与党寄りだったマスコミも、少々与党に「飽き始め」て、自民党議員の不倫問題で足を引っ張る。宮崎謙介の不倫辞職に続いて、自民党から参議院議員出馬が確実視されていた乙武洋匡の不倫騒動。あまりにも野党が弱すぎるので、少しでも与党を弱体化してやろうとの老婆心か。
 野党第一党の名前が民進党に決まった。よくまあ、政策志向のない、ありきたりの名前を選んだものだと感心する(?)。人々が何を求めているのかまだ分からないらしい。アメリカに学び、ダイナミズムを仕掛けなければ、未来はないであろう。戦後70年、世俗国家であり続けた日本は自ら変わることはできない・・・

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