日々雑感

衆参同時選挙はあるまい

 熊本大地震の後初めて、安倍首相が衆参同時選挙について言及した。「今は災害対策に集中すべき時であり、同時選挙は考えていない」。一国の宰相としては当然の発言であろう。この緊急時に政治空白を作ることは許されまい。
 災害対策は、東日本大震災の大きな積み残しも加えて、現在政府において一番の課題である。地方創生事業においても、自治体は防災対策を緊急の大きな柱として立てねばならない。その上で、中長期的には、産業構造の変換、農業の立て直し、子育て支援と介護事業の柱を立てることになろうが、これらの柱には、背後に人口政策が関連している。防災と並んで、基本中の基本となる国内問題である。
 政府・自治体ともに国内問題の解決が迫られ、日本は内向きにならざるを得ない状況にある。北朝鮮のミサイル発射やイスラム国の脅威などは、いつ暴発するかもしれないが集中的に取り組むことが難しい。
 アメリカの大統領選でも、アメリカの内向き傾向が感じ取られる。トランプの移民阻止や日米安保の片務性強調、ヒラリーの労働組合に配慮した発言やサンダースの若者対策など、内向きな議論が続いている。やはりアメリカは「世界の警察官」を止める気なのか。
 誰が大統領になっても、アメリカが内向きになったときには、一番影響を被るのは日本ではないか。日本は、対中国、対韓国、対北朝鮮、対産油国の外交シュミレーションを描くことも求められよう。
 大変な時代だ。衆参同時選挙はあるまい。

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