政治に絶望しつつも、イノベーションを
政治とカネでニュースが埋まり、自民党の不支持率が86%に及ぶ(テレビ朝日)事態に至った。そのさなか、JAXAのH3ロケットが打ち上げに成功した。約一年前、打ち上げの失敗を泣きべそをかきながら会見していた責任者の顔がほころんでいた。
日本の科学や経済政策の遅れが国際的に認識されているときに、H3ロケット打ち上げ成功は快挙である。日本はまだやれる科学の力が残っていることを示してくれたのだ。日本は、近年、とかく遅れや停滞が指摘されてきた。太陽光発電、電気自動車、コロナワクチンの開発、AIの普及などで遅れが目立ち、先進国の顔を失いつつある。
しかも今の政治のカオスと一人当たりGDP32位(IMF)の経済力の低下は、日本を先進国における悪玉の存在にしている。先ずは、政治の刷新は必須だ。リクルート事件以上の政治の腐敗は、与党自民党ではもたないことが明らかだ。では、誰が政権を担うのか。
政権交代を軽々しく言えないのは、自民党の体たらくは明らかとしても、それを責めるだけで、野党側にいかなる政治を行っていくかが見えないからである。日本再生のための政策はあるのか。H3ロケットに続いて、日本が技術的に優位にある浮上式風力発電や潮流発電を大々的に取り入れるのか。イノベーションを遮る学究体制を改める気はあるのか。
無論、それ以上に、国民が十分な生活費を手にし、消費を刺激し、二極化した階層社会の緩和が必要だろう。しかし、それは、イノベーションと同時にやっていかねばならない。決して、イノベーションを後回しにしてはならない。なぜなら、国民の消費意欲とイノベーションは日本再生の両輪だからだ。
自民党がモラルの欠けた人材だらけであるのに対し、野党は政策を打ち出す能力に欠けるアンチプロフェッショナルの集団だ。筆者は旧民主党に身を置いた経験から、このことは痛感している。
海洋工学の木下健東大名誉教授は、潮流発電を地域ごとのリーダーの下で実働部隊(共同体)をつくり推進すべきであると提言される。筆者が思うに、プロジェクトに政治家が絡めばまたぞろ利権争いになるだけで、地域のリーダーが金集めから、工学的知見から、全てを統括して行うべきである。木下先生曰く、その共同体は国家のようなゲゼルシャフトではなく、郷土の発展を願うゲマインシャフトの集団であることを目指す。
もう政治には任せられない。選挙に選んでもらうための「得か損か」だけのメルクマールを持つ政党(ゲゼルシャフト)を否定し、郷土を、そして日本を再生させる意欲に燃えたゲマインシャフトの共同体を新たなイノベーションの担い手として盛り上げていくべきだろう。