日々雑感

がり勉激減、認知症激増

 昨年の出生数はついに100万人を割り、高齢化率は26.7%になった。超高齢超少子社会はますます深刻だ。社会保障や労働市場の政策はあたふたと対応しようとしているが、人口構造に打つ手はない。いや、実はあるのだが、できない。
 そこで、今トレンディなのが、がり勉の激減と認知症の激増だ。もう今や大学全入時代。欲を言わなければどこかには入れる。我々のころは国立と私立では授業料が数倍も違っていたので、がり勉して国立に入ろうとした。今は私立の授業料は、国立の2倍程度。私立文系は理系の科目を一切やらずに通る。推薦入学も多い。
 司法試験や公認会計士の試験は、国の方針で合格者数を増やしたが、他方で就職難を招き、「どうせ受かっても苦労するばかり」だから、がり勉してまでやる意味がない。その代り、経歴に「司法試験予備校で勉強」(ある市会議員のパンフ)と書き、志が「経歴」だ。もっとも、中退、留学も実は同じ意味だから、許容範囲か。
 他方で、高齢者の会話は、かつての癌への恐怖から、認知症への恐怖が席巻するようになった。人数の多い団塊世代が癌発症のピーク年齢を過ぎたからである。「あの人、認知症じゃない。いつも同じ話ばかり」「私、カバンに入れたはずの鍵がない。鍵が逃げて行ったのかしら」。そして、会話はお金に関することが多くなる。「どうも嫁が私の財布から金を抜いたらしい」「あの時のお金まだもらっていない」。
 電車の中で、ぼけ老人とスマホでゲームを楽しむ若者が互いを見る。若者は「早く死ね、ぼけ老人め、お前らの年金払ってられないよ」、老人は「我々の時代はあんな馬鹿な若者はいなかったが」とそれぞれ心で思っている。

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