日々雑感

リベラル外交

 昨日、リベラル外交評論で頭角を現してきた猿田佐世さんのお話を聞いた。内容をそのまま伝えるのは本人の望むところではないと思うので、猿田さんの書いた近著「新しい日本外交を切り拓く」によれば、論点は、日本は、ブルッキングスやCSIS(戦略国際問題研究所)などシンクタンクに資金提供して、アメリカにおける知日派5-30人をつくってきた。その知日派は必ずしもワシントンの意向を伝える人ではなく、アメリカを代表する意見でもなく、ましてや日本を知る人でもないと言う。
 日米外交の話になると、確かに、同じ人間ばかりが登場する。アミテージ元国務副長官、キャンベル元国務次官補、マイケル・グリーン(CSIS)など同じ人がどの新聞も意見を載せる。だが、トランプの登場で、これらの人々はアウトサイダーになり、政府の動向を掴むことは難しくなろう。
 考えてみると、日本側も同じ事情ではないか。日米関係でマスコミに登場する人は決まっている。ついでに報道番組で数人の評論家を並べ、少しずつ意見を言わせる方式もあるが、一体この人のどこが専門家なのか、また、独自のリソースを持っているのか疑問を持つ怪しいコメンテーターも多い。
 民主党が政権を取った時に、3年間余おとなしくしていた元コメンテーターが、再び自民党が政権を取ると、何事もなかったようにまたマスコミに現れた。同時に民主党ご用達はほぼ消えた。日本もアメリカを笑えない。5-30人の人々の使いまわしではないか。
 猿田さんは新たな外交の境地を開こうと出てきた。弁護士であり、ニューーヨーク州の弁護士資格も持つ。しかし、猿田さん自身が認めているように、「日本では、まだリベラル外交の理論ができていない」。トランプの登場は、もしかしたら今日までの使いまわしの人ではなく、新たな論客を必要とするチャンスを提供するかもしれない。

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