日々雑感
成長の限界
1972年、ローマクラブと名乗る16人の学者が「成長の限界」の本を著し、指数的に伸びる人口の抑制をしなければ、公害や食糧難で100年後の地球は破滅すると警告した。
その学者の筆頭がデニス・メドウである。この本を書いたときには若干30歳で、今70歳台半ば、米国ニューハンプシャー大学の教授である。そのメドウ先生のレクチャーを聴いた。
先生の地球への危機感は45年前に提起した時と変わっていなかった。科学の進歩で公害を解決し農業の生産性を格段に上げてきたけれども、二酸化炭素の問題を例に、真実の「持続する成長」に対して、先生は懐疑的であった。
1970年代、世界を震撼させた、先生が代表するローマクラブの報告は今では過去のものになっているが、過去の考え方の上に立って、世界が地球の新たな処方箋を描くところまで来ていない。ローマクラブの考えは環境ラディカルのスローガンにはなったものの、論理は必ずしも実証されていない。私はここのところをメドウ先生に訊きたかったが、確たる発言はなかった。
それでも、一世を風靡したメドウ先生に、私は、40年以上前に読んだ先生の著書「The limits to growth」(成長の限界)にサインをしてもらった。本棚で40年以上も眠っていた茶色になった本が急に生き返った。