日々雑感

田舎のおばさん

 昨日、長年尊敬する某国立大学名誉教授に会った。昨年のつくば市長選落選後、挨拶に行かなければならないと思いつつ、つい目の前の仕事を優先して時期を逸していた。先ずは、挨拶という「世間のルール」を守るべきとお叱りを受け、その上で、いつも辛口の先生から痛いご忠告を頂いた。
 「あなたは田舎のおばさんだね」「言いたいことを正直に言う政治家は成功しない。たとえば、長靴事件で失脚した務台俊介前政務官。本人はまともな人なのに、口を滑らす」「メルケルは人の話は聞くが、自分の考えは言わない。もしかしたら、考えはないのかもしれないが、人に皆喋らせた後で、黙って実行する。だから、政権を長く保っている。決して優秀じゃないが」「あなたも言いたいことを言い過ぎだ。それは、田舎のおばさんなんだよ」。
 都会っ子の私が田舎のおばさんと言われれば、長年の選挙で、田舎を理解するようになったとの褒め言葉にも聞こえるが、無論そういうことではない。状況を読めない「政治音痴」と仰っているのだ。確かに、当該ホームページを始め、演説でも、言いたいことは包み隠さず言ってしまう傾向は自分でも気づいているが、それが私の選挙下手の原因なのだとは、盲点であった。
 新宿に生まれ、渋谷で青春を過ごし、霞が関で仕事をし、赤坂で飲み歩いた都会っ子が、世界の半分である田舎が知りたくて、山口県や茨城県で活動をしてみたが、今は、すっかり元の鞘に収まりつつある。私は沈黙すべき時は沈黙するという術を知らず、田舎のおばさんよろしく、あたりかまわず喋りまくってきたようだ。
 私は、雑踏の中を歩くのが好きだ。人の流れをよけながら、口を結んで黙々と歩く。匿名の社会は誰もお互いに興味を持たない。私は、田舎のおばさんを卒業して、今日も雑踏の中に紛れ込んでいく。

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