日々雑感

ソーラーシェアリング

 先週、城西信用金庫の吉原毅相談役から、現在当金庫が融資しているプロジェクト、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)についてお話を伺った。
 農水省が設置を認めるソーラーシェアリングは、太陽光パネルを細くし、隙間から太陽光が地面に届くようにして下を農地として活用すると言うものだ。全国で775事例ある(2016年3月)。
 農作物は適度の紫外線がいいのであって、遮光率33%以下で採れる農作物は、大豆、長ネギ、スイカ、ジャガイモ、コメなど、殆どが対象になる。千葉県のメガソーラーシェアリングの落成式には、原発反対の小泉元総理、細川元総理、菅元総理も駆けつけている。
 太陽光発電については、競争激化や環境問題などで一時の流行に比べ低迷しているようにも思えるが、日本は、世界の太陽光パネルの市場を中国に席巻されたのだから、営農技術など別のところで勝っていかねばならない。その意味で、吉原氏は、地方創生の担い手としてのソーラーシェアリングに自信を示した。
 落成式に参加した3元総理共に、原発反対から自然エネルギー派になった。一方で6月6日には、高浜原原発の再稼働が決まっている。政府としては、長年投資し、技術者も多いクリーンエネルギーを捨てがたい。
 吉原氏も原発には反対で、理由は「事故が起きたときの惨禍は人類を破滅させる」。では、もし、技術的に「事故が起きない」まで高められたらどうか。核融合の発電技術で、核ゴミを出さない方法が確立したらどうか。「科学者に訊いたら、それは難しい」と吉原氏。
 自然エネルギーへの投資は、ドイツにおいて顕著だが、経済成長と雇用を生む。しかし、今日まで築き上げてきた原発が技術的に限界があるかどうかの判断は下されていない。だから、再稼働が問題になる。世の中の管理職や政治家は「文系」が圧倒的に多いから、科学的なことは理解できていない。ここは、科学者が世の中を納得させなければ、永遠に水掛け論に終わる。原発を捨て去るのか、ベストエネルギーミックスに原発を残すのか。
 石斧、ナイフ、自動車、飛行機はいずれも多くの人を殺傷してきた。だが、誰も、これらを廃止しようとはしなかった。原発の殺傷力はその比ではないことは確かだが、再稼働の理屈もあるのだから、世の中がもっと理系的に理解する必要がある。「数学ができないから文系に行った」人たちは、科学者に耳を傾けよう。

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