日々雑感

安倍失地、小池失速、枝野失楽園

   小池劇場のストーリーが行き詰まり、急激に観客の熱が冷めつつある。希望の党公約が失笑を買う内容であり、民進党難民キャンプから「救われた」政治難民の扱いが悪い(カネをふんだくられている)。
 守旧派都議会を悪者にして勇猛果敢に闘った都知事選とは異なり、小池さんには悪者にすべき対象がいなくなった。安倍さんは敵ではなく、憲法改正の後押しを約し、アベノミクスの批判は批判になっていない。ユリノミクスとは、定義されていないベーシックインカムの保障(国民全員に生活保護を配るらしい)、消費税を上げないで財源は、ワイズスペンディングと国有財産の売却だそうだ。「ワイズ…」とカタカナにしたのは、民主党が政権を取るときの公約「無駄遣いをやめて財源16兆8千億を捻出」と同じであることを隠すため。民主党は無駄遣いを見つけられず自ら消費税に走ったことは記憶に新しい。国有財産はこれまでも極力売却してきたが、それが国家予算の財源にならないことは百も承知だろう。
 安倍総理は、一時、解散して「しまった」と思ったが、今は胸をなでおろす。しかし、敵はむしろ足元だ。選挙は勝っても議席を減らすのは必至で、党内の安倍さんを土俵から追い出す勢力が強くなる。自民党内での失地は免れない。もう衣の下の右翼鎧は使えなくなるかも。
 第三勢力、枝野氏は、政治家としての筋を通した。サヨクは前進がない泥沼政治だが、今回見せた政治姿勢は一番いい。サヨクは零落したかと思いきや、もしかしたら、失楽園でもう一花咲かせるかも。
 民進党難民キャンプの連中は、三つに分かれた。政治理念など何もないから、昨日まで「安保法制反対」の演説をしていても、今日は「百合子のために賛成する」と言ってのける「代議士になることだけが目的」の連中。野田佳彦が拒否した「百合子の股」をくぐった恥も外聞もない多数派だ。次に、選挙に強く、百合子の軍門に下るにはプライドが許さないから無所属で闘う連中。そして民進党左派を独立させた立憲民主党の連中。
 民進党左派は、党を悪化させた一因でもあるが、今度は共産・社民と思う存分リベラル勢力を謳歌できよう。戦いの構図は、むしろ、自公対共・社・立であり、希望は土俵に上がらずに、ムードだけで票を得ようとしている。維新と共に、東京、大阪では強みを持ち、地域政党はできようが、田舎ではさほど浸透できまい。彼らの声高に主張する地方分権とは「大都市主権」のことであり、大都市の利益を主張する政党があってもおかしくはない。
 今の日本に夢や希望をもたらすのは、少なくともこんな稚拙な政治ではない。AIや自然エネルギーの研究開発がこうしている間も進み、世の中を変えていく。国会もAIが運営するときが来れば、今のような茶番は終わるであろう。

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