日々雑感

誰が保守を担うのか

 総選挙の結果は大方の予想通りになった。与党過半数割れである。選挙終盤の裏金議員への二千万円支給が決定打となった。自民党の身内びいき、温情主義が仇になった。
 特別国会での首班指名まで政党間の駆け引きが続く。維新、国民民主、共産は「野田」とは書くまい。政党の看板に傷がつく。維新、国民は「ゆるふん」の自民とは異なる保守を目指す政党だ。共産は、極左の立場から、右から左までゴタ混ぜの曖昧左党立民を嫌う。
 石破がかろうじて首班に指名されたとしても、党内はもたない。裏金=安部派の復讐が待っている。では、今後、日本は誰が保守を担うのか。少なくとも、総選挙は、自民が「健全な保守」ではなかったことを明確にした。安部派=高市を除いたものの、右翼を整理しただけで、その残りも健全とは程遠い存在だった。日本の有権者は、きちんと審判したのだ。
 安部元首相が亡くなって初めて、立民は「民主党政権という悪夢」の形容詞を外すことができた。二度と党勢拡大はなかったはずだが、大きな敵失が彼らを救った。しかし、右翼を切った自民を真似できず、左翼を切ることはできなかった。
 野田は党内右派を代表して、穏健さを前面に出し、悪夢の看板を下ろしにかかった。その意味では、選挙戦は成功したと言ってもよい。しかし、問題はこれからだ。右から左までの党内はまとまるまいし、そもそも野田氏は、旧民主党を瓦解させた張本人であり、自己主張のみで集団力のない立民の信望を得ていない。
 まもなくもっと大きな選挙、アメリカの大統領選がある。ハリス旋風は凪になった。なぜか。人々はさすがに多様性の「行き過ぎ」には辟易だ。トランプの下品さとバランスさせたときに、極左ハリスの価値観が容易に勝てるとは思えない。ここから学べば、立民は左翼の切り捨てをしない限り悪夢の看板を下ろすことはかなわないと断言する。
 右翼を切ったがゆえに苦しむ石破首相、左翼を切れないがゆえに展望が開けない野田氏。党内民主主義を主張するあまり、自分の意見を捨て国民の民主主義によって罰された石破。ドジョウが金魚を食べてやるの稚拙な例えでイデオロギーの欠如をにおわせた野田。融通の利かない二人の政治家が今後の日本に影響を与えていくとは、冬の時代の到来ではないか。何よりも、健全な保守は誰が担っていくのか。誰が作り直していくのか。泉下で西部邁先生が地団駄踏んでいることだろう。
 新党を創る暇もないとすれば、今あるカードの中で、自民の中では評判の悪い茂木敏充を登場させることだ。
苦難の道の案内は、頭脳明晰、国際性抜群の人材を選ばなければ、日本は滅びる。

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