日々雑感

日本は資源を守れるか

 産総研地質調査総合センターの高木哲一上級主任研究員によると、資源小国と言われる日本でも、石灰石、粘土、砂など身近な非金属資源は国内鉱山で賄ってきたが、コンクリートを作る骨材資源(砂・砂利)の減少、陶磁器の材料となる粘土の枯渇などが指摘されて久しい。しかも、非金属自体の価値(金額)が低く、トラック輸送などのコストに対し割が合わないという問題もある。
 非金属資源の消費量は、例えばタイルを使うことは少なくなり、減少し、底打ちして止まっている。非金属の採掘は環境破壊とも結び付けられ、リサイクルもガラスなど一部を除いてはできないものが多いため、国内で採掘できる資源でありながら、未来への応用、産業への活用などの政策が明らかではない。
 八木信行東大大学院農学生命科学研究科教授によると、生物多様性条約(略称BBNJ)は、2010年のCOP10では、名古屋議定書が採択され、日本のイニシアチブが発揮されたが、海洋遺伝資源(必ずしも漁業資源ではない)の利益配分という、先進国と開発途上国の利害が反目するところで、条約の成立までまだ困難が多いと言う。しかも、アメリカが参加していない。
 海洋国家で海洋資源については利害関係の最も大きい日本であり、また、非金属は資源小国日本の貴重な資源であることを考えると、これまで目立たなかったこれらの分野での日本の活躍を望みたい。女性活躍社会やワークライフバランスや地方創生など官制社会運動ばかり増えるが、科学は社会運動ではできない、優先的に予算をつけて資源問題などの解決に向かってほしい。ノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑先生が強く主張されている点だ。

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