日々雑感

自然エネルギーの道

 最近、自然エネ庁と公益財団法人自然エネルギー財団のレクチュアを聴く機会があった。日本でも、太陽光エネルギーのコスト低下は進み、中国などにはかなわないにしても、早晩、原発をはるかに上回るエネルギー効率が期待できる。全世界的には、既にコストや熱効率の観点からも原発をしのぎ、化石燃料に代わる代替エネルギーとしての地位を収めつつある。
 エネルギー政策は国の重要な決定事項である。デンマークは風力発電を主電源とし、フランスは原発に重点を置き、中国はエネルギーミックスに配慮しながらも強烈な勢いで太陽光を始め自然エネルギーに舵を切っている。
 日本はどうなのか。自然エネルギーの発展は目覚ましいが、ドイツのように、目標値をもって代替エネルギーの開発を図っているのではない。ここが民間開発企業の不満を生じさせている。政府のコミットなしには、リスクをすべて自ら負って開発しなければならないのと、補助金などの呼び水なしに国際競争力をつけるのは難しいからだ。
 日本は原発再稼働に向かっている。海外への原発売込みも積極的に行っている。しかし、昨年末、イギリスでの日本の原発設置計画が凍結されたように、世界の原発へのしり込みは明確になってきた。スリーマイル、チェルノブイリ、そして極め付きが福島原発事故で、他の自然エネルギーのコストパフォーマンスさえ良ければ、あえて原発を選択しない流れにあろう。
 もちろん、原子力工学をおろそかにしてはならない。将来の廃炉技術や新たな分野での必要性を否定できるものではない。しかし、是非を度外視しても、日本の自然エネルギーの取り組みが先進国や中国の後塵を拝しているのは、原発再稼働の政策があるからだろう。
 民間は、2017年から、日本でも、RE(Renewarable energy)宣言をする企業が続出し始め、自然エネルギーの活用に身を乗りだしている。昨年、筆者が出席した国際シンポジウムでは、オゾン層の発見でノーベル賞を受賞した、マリオ・マリナ博士が「97%の科学者は、地球温暖化は人為であると確信している」と話した。つまり、自然エネの開発には科学者の協力を存分に受けられるということを表している。
 自然エネルギー財団では、地球温暖化の観点から、CE(サーキュラーエコノミー)の研究も始めているが、関連の農業分野などの研究はこれからの課題であると言う。そして、民間が頑張っても、科学者が頑張っても、一層必要となるのが政府のコミットメントだと言う。
 トランプ大統領や安倍首相の本音を聞きたいところだ。

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