日々雑感

その人事でいいのか

 意外なのか当たり前なのか、総裁選、蓋を開けてみれば、世代交代と自民党改革は見送られた感がある。岸田氏はまともな政治家であり、政策論も人格も正しいと言えるが、しかし、コロナ禍の国民が求めているものは「それ以上」なのだ。
 党役員人事は総裁選の功労人事。高市氏が「決定戦での私の功績をお忘れなく」とばかり、岸田派閥の会合に押し掛けまでした。サプライズはない人事ばかりで、総務会長は三期生を登用したと言うが、そもそも総務会長に実権はなく、またぞろ有力なる世襲への配慮を示したに過ぎない。
 総選挙は過半数に届かないのではないか。新たに、維新と国民民主を連立の枠組みに入れる必要が出てくるのではないか。維新も国民民主もその可能性を見て野党連合に加わらなかったとうがった見方もできる。
 新たな連立が成立すれば55年体制から66年後の2021年、新たな政治枠組みができるかもしれない。保守と革新の二分である。今の野党連合は、どう見てもかつての社会党と共産党が連合したようなものだ。人材は左翼。
 人事には失望したが、岸田総裁にまだ期待は残っている。岸田派の宏池会創設者池田勇人を尊敬するなら、彼の所得倍増に匹敵する政策をスローガンにせよ。「労働分配率倍増」「教育費負担ゼロの少子化対策」。左翼のお株を取ってしまえ。
 自民党が長く政権を維持してきたのは、実は革新が主張するであろう政策を実現してきたからだ。児童手当も年金も介護保険も・・。ここ20年余りは学問のないひこばえ政治家が勝ち負けだけの哲学で跋扈し、日本を劣化させてきた。自らもひこばえ政治家の岸田総裁だが、人事がだめなら、最後、政策で勝負せよ。さもなくば新政権も1年の命だ。

日々雑感一覧