日々雑感

不毛な議論の参議院選挙

参議院選挙が始まった。争点は給付か消費税減税かの与野党対峙だ。しかし、参議院が政府を替え、直ちに政策の変化を起こすわけではない。其れよりも、良識の府とも言われた参議院の役割をますます矮小化する選挙戦となった。物価高対策を語りながらも、その先にあるはずの国際政治や経済社会政策を示すのが参議院の役割ではないのか。
 この間、トランプ大統領は日本に対し、事実上の関税交渉打ち切りを発言し、ウクライナもガザも新たにイランも戦争の憂きを晴らすことはない。まだ株価は大丈夫、まだ雇用も大丈夫・・とのんびり構えているうちに、トカラ列島の地震、出生の70万割れと日本社会を震撼させる出来事が押し寄せてきている。
 トランプ大統領の日本認識は80年代プラザ合意時代のものだ。これを機に、日本は安保について、もう少し柔軟に考え始めるべきではないか。同じ敗戦国だったドイツは、アメリカからの独立を視野に入れ始めた。
 人口減少も、いつまで児童政策に代替させておくつもりか。保育政策も幼保一元化政策も人口の増加につながらなかった。団塊世代の全員が後期高齢者になって、戦前を知る世代のアレルギー「産めよ増やせよ政策」は影をひそめた。その政策では、結婚年齢を3歳早め、一夫婦に5人の子を産めと勧めていた。早婚手当や独身税や女性の年金額に子供の数による上乗せや、3人以上産んだ家庭の非課税と手当の給付など、荒っぽい政策が出てきても今ならおかしくないのではないか。少なくも強硬に反対する戦前派は既にいない。女権論も下火で、対抗する議論も少ない。
 参議院選挙において物価政策だけで議論を終わらすべきではない。第二衆議院の汚名を返上すべく、今からでも遅くはない、参議院選挙の論点が熟すことを願ってならない。

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